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2025-02-07

HR高等学院、共同設立者と特別講師の座談会を実施

2024年12月、HR高等学院の特別顧問の、スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の星友啓先生・東京学芸大学の金子嘉宏先生と、共同設立者の成田修造さん・山本 将裕が、座談会を行いました。現代の教育システムと学習方法への想いや、HR高等学院の特徴・教育アプローチについて、それぞれの立場から意見が交わされました。

プロフィール

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星 友啓(特別顧問)
Stanford大学哲学博士修了後、同大学哲学部講師として論理学で教鞭をとりながら、Stanford Online High Schoolスタートアッププロジェクトに参加。 2016年校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて、教育及びEdTechのコンサルティングにも取り組む。日本では慶應義塾大学特別招聘教授、横浜市立大学特任教授を務めている。

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金子 嘉宏(特別顧問)
東京学芸大学教育インキュベーションセンター長教授。
専門分野は社会心理学、教育支援協働学。こども、教育関連の企業に勤めながら、「遊び」についての産学共同研究を数多く実施。現職にて、新しい学びの場の創造プロジェクト「Explayground」、学校の変革プロジェクト「未来の学校みんなで創ろう。PROJECT」等の公教育のシステム変革の実践事業やSTEAM教育の推進等に取り組んでいる。

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成田修造(HR高等学院 共同設立者)
慶應義塾大学経済学部在学中より起業やベンチャー勤務を経験。2012年に株式会社クラウドワークスに参画、執行役員に就任。創業3年で上場を果たす。2020年10月からは同取締役 兼 CINOとなり、2022年12月に取締役を退任。現在はエンジェル投資などしながら、次なる起業に向けて準備中。2023年より株式会社RePlayce特別顧問。

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山本将裕(HR高等学院共同設立者/CEO)
2010年にNTT東日本に入社。2020年にNTTドコモに入社し、NTTドコモでは「ドコモアカデミー」を立ち上げ学長に就任。2022年「はたらく部」を立ち上げ、2023年経済産業省「第13回キャリア教育アワード」の優秀賞を受賞。2024年4月、NTTドコモから事業をスピンアウトし株式会社RePlayceを設立。現在、社会全体で次世代を育成する、新しい学びの場である通信制サポート校「HR高等学院」を2025年4月開校にて準備中。

HR高等学院の特徴と教育理念

HR高等学院は、2025年4月に開校する通信制高校サポート校。

教育理念
「先生」はいない。「大人」が向き合う学校。
└「自ら人生を動かす人」を育てられたか
└「次世代の社会を担う人材」を育てられたか

4つの主要な特徴
1)企業PBLを通じた成長課題解決能力の育成
2)第一線で活躍する多様な社会人との関わり
3)個別最適な学びの提供
4)学生主体で選択できる進路指導のサポート体制
参考:公式サイト HR高等学院の学び / HR高等学院の進路指導

現代の高校生のアントレプレナーシップ教育(起業家精神)について

――星さんはアメリカ拠点で教育に従事されていますが、アメリカと比べた日本の教育、HR高等学院の学びはどう見ていますか?

 日本とアメリカだけを比べるという訳ではないのですが、確かにアメリカは”アントレプレナーシップ(起業家精神)”を教える機会は増えていますね。ただ、学生がインプットして、考えて、企画しても、実践するところまでは至らないケースは多いです。リアルな社会との接点が足りず、教育現場が狭いところで行われていると感じるのは、日本だけの問題ではない印象です。

どんなにキャリア精神を教わったところで、それだけでは身につく学びは足りず、リアルな社会人と触れることで「もっと知りたい!この仕事は面白そうだ!」と、熱意が伝染するようなもの。HR高等学院のように、社会人が教育現場に来て、実際に学生と触れるのは、素晴らしいチャンスだと思います。

――面白いかは、やってみないと分からないということですね

金子 高校生と話をしていると「授業がつまらない」という声を聞きますが、例えば物理や化学も、好きな人にとっては面白いし、つまらない人はつまらないですよね。「好きな事を見つける」と言いますが、好きなものって、見つけるというより「まずやってみて、やっているうちに面白さに気づく」の順番だと思います。

成田 高校の授業がつまらない理由は、なんでしょうね。高校教育まで進むと、専門的になる部分も多いために難しくて理解が追い付かないというのもあると思いますが、自分にとって何の意味があるかの目的意識がないまま、点数稼ぎゲームになっていることも大きいように感じます。先ほど星さんのお話にあった、**面白いことを伝える感染力や、学生が憧れを抱くような影響力がある人たちが、一体どのような学習体験をしていて、自分に足りない経験は何なのか?と思える視点があれば、必然的に勉強の価値や、何かを学ぶ価値が見えてくるような気がするんですよね。**それが一番理想的な学習ステップではあると思います。

 そうですね。先生も学生も簡単に言うと「やらされている」状態が、「つまらない」原因なんだと思います。理論的には学習指導要領のようなものがあるけれど、それを先生自身が創意工夫して伝えている空間というのはあまりないですね。

金子 単純に「座学がつまらない」という訳ではないですよね。探究学習の良いところは、やはり自発的に取り組めると楽しいですよね。それも、なんだか気になる、くらいの気軽な気持ちで、まずはやってみると良い。

 東アジアに多い傾向だと感じるのが、教育において、指示されて動いているなと。小学生のころからずっと、あれをしなさい、これをしなさいと言われ続けているから、高校生や大学生になり、いざ自己決定が大事と言われても、逆にやる気をなくしたり、好きなものがないと落ち込んでしまったり。

例えば、心療内科でカウンセラーは「今日暑いですね。水とお茶、どちらにしますか?」と問いかけるのですが、その雑談からもうカウンセリングは始まっている。簡単な「どちらがいい?」から始めて、だんだん慣れてきたら今度は水・お茶・オレンジジュースと「どれがいい?」と、自己決定のステップを踏ませてあげて、培うということを丁寧にするのです。

探究学習も、そういうアプローチができる良さがありますね。まずはA・Bどちらかを選ぶことから始めて、次にA・B・Cどれにするか、そのうちにどれでも良いですよ、とする方法もありますね。

山本 探究学習は最初からゼロイチを求めると、思考がかたまってしまうことはよくありますね。私も、中高生に授業やワークショップをする際は、いくつかの考えるヒントとなるような選択肢を用意するようにしています。

探究学習は、今でこそ注目されていますが、高校で必修科目になったのが2022年なので、わりと最近です。とりあえずテーマだけ決めさせられて、何をしたらよいかがいまいち分からない、まだどこか、”夏休みの宿題感”が抜けていない感覚がありますね。

金子 必修になったのはまだ3年目くらいですが、一方で探究疲れという言葉もあります。探究学習を「させられている」から、何をしたら良いのか分からない。自分の心が動くことを探し、それを自分の経験などと結び付け、実際にやってみて、リフレクション※することは結構つかれることで、多分自分ひとりじゃできないように思います。

※リフレクション 過去の行動や思考を自分自身で振り返ることで、自身の行動や思考のパターンを客観的に理解すること

価値創造は、コロッケにカレー粉を入れることからでも良い

――「好きなものをやってほしい」と願うけれど、大人はどんなアプローチが良いのでしょう?

 子どもが「これってどうかな?」と思うくらいの軽い興味の時にやらせてあげる、土壌を作ってあげることが大事ですよね。

成田 最初は、なんでもいいと思うんです。コロッケ食べたいな、と言ったら、いいね!と言って、一緒に作ってみるとか。例えば、ごはん前で、今食べたらごはん食べられなくなるなと親として分かっていても、やりたいという気持ちを殺さないことがまずは大事なんじゃないかと思います。

金子 みんなが言う「価値創造」って、何だか初めから壮大な「価値創造」と捉えられてしまうのですが(笑)、全員がイーロン・マスクを目指さなくて良いですよね。例えば日常を例にすると、「普段つくってるコロッケに新しいスパイスを入れてみたら、むっちゃおいしくなった!」でも立派な価値創造。そういう 「自分からはたらきかけてみる体験」を、小さい頃から何度も体験させてあげるのが、大事なんじゃないかと思います。

 心理学的な理論の話になりますが、声かけの視点で言うと、人間の心が求める3つの欲求があります。①人とつながること ②有能感(できたと思える)こと ③自発性です。自分の意志に基づいてやっているということですね。同じことでも、「やりなさい」というと、コントロールになりやる気が失せるけれど、「やったらどう?」と声かけを変えると、本人からすると「チョイス」に変わるんです。国語からやる?算数から?とか、どのペンでやる?など、本当に細かいことでも、自分で決める経験の積み重ねが、自己決定する体験として大切と言えますね。

――親心として、頭では自己決定や選択の経験が大事と理解しても、勉強だけじゃないよ、という怖さもあります

成田 社会に出てからも「べき論」というのは、常に存在しますね。マネジメント論でも、Will(今やりたいこと)・Can(今できること)・Must(今やらなければならないこと)があります。ビジネスでは、その3つの交差点を自分で見つけましょう、という考えがあるので、Mustは「学ぶ能力」としては必要だと思います。その意味では、宿題や、試験をクリアする等、Mustを経験することは大事なことで、否定することでは全くないのですけど、それだけで何か解決すると思うと、後々苦労してしまう。私が思う親のスタンスとしては、何がその子の本当にやりたいことか、どれぐらいできているか、やらなきゃいけないことができる能力はあるか、そのバランスで子どもと接するのが大事だと思います。

 そうですね、Mustはどうしても社会では必要なので、子どものうちは、やらなければならない枠は決めたうえ、その中でどう自由にやらせてあげるかだと思います。

金子 「面白い」の反対は「つまらない」、「楽」の反対は「しんどい」ですが、「面白い」と「しんどい」って両立するものですよね。大人は分かっているけど、しんどいほうが実は面白い。こどもたちもゲームは面白い、難しい方が面白いと言う。じゃあ勉強は?と言うと、難しすぎると言う(笑) 実は、遊んでいるとしんどい、難しいことって結構あるのですよね。でも面白いからやる。勉強や教科教育も同じで、その先に面白いものがある、なんかできそうと思って、難しくても多少しんどくても一旦やってみて、好きなものを見つけられたら良いのかなと思います。

山本 昔は学校に「面白い」が集まっていたのが、今は様々な情報にアクセスしやすくなって、面白いことが学校の外に溢れすぎているというのもありますね。その点で通信制高校やサポート校は、個別最適なサポートがしやすいので、それぞれの子がやりたいことを見つけやすい、後押しもしやすい環境と言えますね。

 「つながり」も大事ですね。心理学的に、根本的には人とつながりたいと思っているので、誰かに後押しされてやってみる一歩となるのは、理にかなっている。探究学習もグループでやることも増えてきていますね。

――今の探究学習はグループでやるのと個人と、どちらが多いのですか?

金子 どちらもあります。個人でやるマイ探究というのもありますが、問題解決や価値創造となるとグループじゃないと難しい面もありますね。

成田 アインシュタインの時代等は永遠に一人で数式を考えるような印象でしたが、今は研究も複数人で取り組んだりしているので、かつてないほどグループでやる機会が主流な時代かもしれませんね。中高校生時代に、仲間と「やろうぜ!」といって、共通の目標に向かってやりたいことを突き詰めるような探究学習をグループで取り組む経験があると、人生の中で大きなインパクトになりそうです。

金子 好きなことを突き詰めて、その分野で突出した学生を評価するという意味では「スポーツ推薦」が元来ある受験形式ですが、今は総合型選抜を取り入れる大学が増えているので、対象がオールジャンルになっているとも言えますね。

自分の「好き」について、学生時代から考える習慣が大事

――自分の本当の「好き」について、案外わからないかもしれません

成田 15歳くらいではまだわからないのは当然だと思いますが、高校生時代に、「自分は何が好きかを考える習慣」があるというのは、非常に大切だと思います。

 「好きなものがある」とはまた別で、「考える」ということがポイントですよね。

成田 ずっと夢をもって没頭するのも大事ですが、揺らぎも大事ですね。本当は何がしたいんだ、と自問自答する習慣。HR高等学院で過ごす3年間においても、学生に頭の片隅で考えてね、と伝え続けると、その視点でインプットしたり、日々を過ごすことになるので、だいぶ変わると思いますね。

 思考法のモデルを紹介すると、デカルトの思想がひとつ。法的懐疑(自分が持っている知識や信念を徹底的に疑い、疑うことのできない真理のみを探求する思考法)もそうですが、当たり前と思っていることを問い直して、最後に残ったのが自分にとって真実という考え方。もうひとつは、反対の視点から考えてみることが良いかと思います。今、私はこう思うけど、他の視点もあるかな?と考えてみる。いろいろな「考える方法」があるので、試してみると良いと思います。

成田 思考のバイアスは大人にもありますよね。みんな知らず知らずのうちに、自分はできないと思い込んで生きているけど、誰かがやっていることは無理なことなどではなく実現できるものだとすると、その制限をとっぱらって考えた時に「自分は何がしたいのか」を見つめるのが大切だと思います。

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HR高等学院のプログラムは、「探究×越境×共創」を軸に、展開いたします。
第一線で自らの道を切り拓いてきたトップランナー講師陣との対話を通じて「これからの時代を楽しく生き抜くため」のマインドやスキルを身につけるセッションをはじめ、社会と近い距離で、自分のやりたいことを考えながら、大人や仲間たちと面白い学びを体験できるプログラムをご用意しています。ぜひ公式サイト「HR高等学院の学び」ページをご覧ください。

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株式会社RePlayce
中高校生向けキャリア探究サービス「はたらく部」をNTTドコモからスピンアウトし、2024年4月創立。若い世代の探究心に火をつけ、「今の教育のあり方をアップデートする」をミッションに、子どもたちの自己実現、今後の日本社会を支える人材育成の事業に取り組む。
探究を中心とした教材開発、社会人講師の派遣、オンラインスクール事業を運営。
https://replayce.co.jp


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